第5号 2007年11月発行
「1日の中で、一番ほっこりする時間」

こんにちは、失礼します。
食援隊の細川泰伸です。
いつもいつも十黒梅をご愛飲頂きまして、本当にありがとうございます。

11月に入り、皆様いかがお過ごしでしょうか?
今年の夏は異常気象ともいうべき記録的な、猛!猛!猛暑、そして残暑の影響か
こちら南国高知は、日中はまだまだ、半袖でも大丈夫です。
しかし、さすがに朝夕は11月ですね、朝の風が冷たくなり、
体力作り・健康作りに続けている自転車通勤には、
風を通しにくい、ナイロン製のウィンドブレーカーが必要です。

でもでもでもっっっつ!私の自転車の横をすり抜ける通学途中の小学生は・・・

なんと!半袖っっっ!!!!! いやぁ~、イキイキモード満点です。

私:「よぉ~し、明日から半袖で行くぞぉ~」と妻に言うと
妻:「年を考えてね、年を!」と一喝
そうですね、いくらなんでも小学生の真似をしてはいけませんね

そんな朝夕の冷たさを感じるこの頃
私にとりまして、「1日の中で、一番ほっこりする時間」があります。

それは、布団に入って眠りにつくまで、15~20分間の読書タイムです。

「十黒梅」をキュッと飲み、布団に入ると
さっきまで温度のなかった布団が、ジワジワと温かくなり、とても心地がいいんです。

そして、その時間をさらに楽しませてくれる、現在、枕元にある愛読書は
「天翔ける日本武尊(あまかけるやまとたけるのみこと)」!

まだ、読み始めて間もなく、本来ならば、完読してからご紹介すべきなのですが
あまりにも、心に感じるところがあるので少しだけご紹介させて頂きますと

主人公は、皆様ご存知、ヤマトタケル!
日本の草創期に活躍した神話の英雄です。

父の景行天皇が、ヤマトタケルを立派な後継者にするためには
本人を死に直面させ、甘えを削ぎ落とすしかないと苦悩の末に決意し
戦地に向かわす、親も子も覚悟を決めるシーンがありました。

私は、覚悟を決めて起業した時の、あの熱い想いを思い出し
吸い込まれるようにページをめくりました。

そして、読みすすめるうちに、他の民族にない、
日本人のルーツといいましょうか、そのようなものを感じ、胸を躍らせています。

なぜ、この本を手に取ったかといいますと・・・
実は、9月にこの著書を書かれた
神渡良平先生の講演を受講するチャンスがありました。

先生は、38歳の時に脳梗塞で倒れ右半身不随となり、
そして、その時「人生は一回きり」という事を骨の髄まで身にしみたそうです。

闘病中に読んだ安岡正篤氏の本に感銘を受け
もともと物を書くのが好きだった先生は「人生は一回きり」と
安岡正篤氏の本を自分で書きたいと強く思われたそうです。

必死のリハビリで、医師も驚くほどの回復力で、右手でペンが持てるようになり、
出版にむけ、安岡正篤氏の資料を集めに奔走されました。
しかし、当時まだ無名だった先生に、資料を提供する人などいませんでした。

ところが、強く思えば、思いは必ず届くものですね
私はここからのエピソードに、もの凄く感銘を受けております。

先生は、安岡正篤氏の教えを学んだ、元・住友生命社長の新井正明氏に、
ダメもとで資料提供の用件で面会を申し入れをされました。

新井正明氏は、戦争で右足を失くされました。
毎夜見る夢の中では、足が元通りになっている
ハッと目が覚め、足を触ってみると足はありません。
スリッパを履こうとすると、決まって無いほうの足のスリッパを探してしまう。
このまま帰国するには、あまりも惨めすぎる
いっその事、死んだほうがましだったと、絶望の崖っぷちだったそうです。

そんな時、新井氏は安岡正篤氏の
「忘の効用・人間には、忘れるという天が与えてくれた、すばらしい能力がある」
という教えを知り、目を熱くされたそうです。

ないものねだりをして過去にこだわってもどうなるものでもない
忘れて、新しい明るい道を歩こう

そんな体験のある新井氏は、脳梗塞で倒れ、人生は一回きりと決意した神渡先生の
熱い申し入れに心を動かし、安岡正篤氏の資料提供に積極応援をすることになり
神渡先生の処女作「安岡正篤の世界」は見事ベストセラーとなったそうです。

「熱い思いは、必ず報われる」 この先生のエピソードに、
私は目頭が熱くなり、両目の涙を止める事が出来ません。

その神渡先生の最新作が、「天翔ける日本武尊(あまかけるやまとたけるのみこと)」です。
渾身の思いをかけて書き上げたと熱く語って下さりました。

講演終了後、即売会があり並んで買い求めました。
受講生の多くが本を買い求めたので、先生の前には長蛇の列です。
先生は、本の裏表紙に、姿勢を正して丁寧に、
一度は脳梗塞で不自由になりながらも、見事に回復したその右手で、
サインを下さります。それも、一人一人違うメッセージを添えてです。

時間がちょうどお昼だったので、先生に食事を先にお勧めしたのですが
先生は、並んでいた受講生に、名刺を本に挟むように指示し、
ご自分より先に食事に行かせ、先生はそのまま一人残って、
名刺の名前を見ては、丁寧に一冊ずつサインをしておいででした。
もう、私は胸が熱くなる思いでいっぱいでした。

私は先生の横で、サインの仕上げとなる先生の判を押すお手伝いをすると
「細川さんの笑顔は本当に素敵ですね」と優しくおっしゃって下さり
私が買い求めた三冊の本それぞれに

「飛翔」  「燈心」  「笑顔は天の花」
とメッセージを書いて下さりました。

胸の奥からジ~ンと、温かいものが込上げた事を、今でもありありと覚えています。

「天翔ける日本武尊(あまかけるやまとたけるのみこと)」
この巨編を書き上げた先生に改めて感謝し
しばらく、眠りにつくまでのひと時を存分に楽しみたいと思います。

それでは、失礼します。

細川 泰伸