第17号 2008年11月発行
「見える!という感激」

こんにちは、失礼します。
生搾りどくだみ青汁酒・十黒梅(じゅっこくばい)食援隊の細川泰伸です。

少し肌寒くなった10月のある日、私は単身、一大決心を肚に固め
飛行機に乗り、大阪に向かいました。

その時の私の乗った高知龍馬空港からの大阪便は
数年前に、機体不良のため胴体着陸で話題になった機と同機種のプロペラ機です。

「変な事にはならないだろうか?」 私の一大決心に一抹の不安がよぎります。
しかし、モノは考えようというか、私があまりにも楽天家なのか
それとも、頭のネジが一本飛んで思考回路が狂っているのか
その機に乗るには、ロビーからの直結連絡通路ではなく
一旦、滑走路に下りて、滑走路を歩いて、その機に乗り込まなければなりません。

そうです、30年程前に、
一世風靡した人気テレビ番組「Gメン75」のように滑走路を歩くのです。
その「滑走路を歩く」という行為が、どんな困難にも立ち向かうGメンのように
私の一大決心を力強いものに変えていきます。

その一大決心とは、、、 目の手術です。

特にここ数年、レーザーによる視力の矯正手術が進歩し
一般的になってきました。私の知人が、その手術を受け
「世界が変わった」「こんなに、明るく、広かったんや」と大喜びです。

さらに、
「朝、目が覚めて、眼鏡は?眼鏡は?と探す目が すごくハッキリ見えて、
あっ!コンタクト外さすに寝たぁ???
あっっっっ!もう眼鏡もコンタクトも要らんのや」と
満面のニコニコ顔の笑顔を見て
非常という言葉が生ぬるい程、興味を抱いておりました。

と、いいますは、小さい頃に、テレビを近くで見過ぎたのでしょうか?
私には小学校に上がる前から眼鏡なしの生活はありえませんでした。

寝る時と視力検査以外は、全て眼鏡をしていました。
視力は「C」の一番上の「0.1」が見えず「0.02」とか、そんな視力です。
眼鏡やコンタクトレンズで矯正してやっと「0.7」程度でした。

当然のように裸眼では、飛んでくるボールなんて見えません。
小さい頃は、悪ガキ連中に眼鏡を取られたり、
中学・高校に入ると「ガンをつけた!」と絡まれる始末
見えない事で本当に嫌な思いをしました。

ですから、「ハッキリ見える生活」 いや、普通の人のように
「普通に見える生活」に全国トップレベルの願望をずっと持ち続けていました。

手術を受けた知人のあまりの喜びように
心がガクンっ!と大きく動かされ、7月に手術前の適性検査を受けました。

結果は、私の目は、乱視が極度に強い等の性質上、
一般的なレーザー矯正ではなく、
目の中にレンズを入れる「眼内レンズ」が適しているとの事。

こうやって、文字にすると大した事のないように思えますし
担当医:「細川さんには、レーシックは無理です。やるとしたら眼内レンズですね」と
必要最低限の言葉で、コンビニで、おにぎりでも買うようにあっさり言うものですから
その宣告(?)を受けたその瞬間は、
「そうなんやぁ~」ぐらいにしか思えませんでしたがっっっ!!!!

目の中に、レンズを入れるぅぅううう!!!!!

一呼吸置いた次の瞬間から、あまりの事の大きさに、
「手術やめようか?」とガクンっ!と心が傾きかけます。

しかしっ、ここは乗りかかった船、何事にも流れというものがあります。
勢い、その場でレンズを注文し、3ヶ月待って、
やっとそのレンズが出来上がり10月の手術当日を迎えました。

病院につくと、私の心臓はバクバクです。
目にメスが入り、レンズが挿入され、装着され。。。
想像するだけで、気持ちが縮んできます。

順番が呼ばれるまでの「その時間」は
ある意味、今までに体験した事のないような肝の冷え方で、とても長い時間に感じました。

待合で待っていると目に眼帯をした、手術後らしき人が
私の横を通り過ぎます。「ああ、数時間後は、ボクも。。。。」と思う矢先
とうとう、「その時」がやってきました。私の順番が呼ばれたのです。

今でこそ、「その時、歴史が動いた」のテーマソングが
頭の中でリピートされ、その時の様子を思い描く事ができますが
本当の「その時」は、そんな余裕は一瞬たりともありません。

覚悟を決め、手術室に入ります。もうジタバタしても始まりません
手術台に横になる様は、まさしく「まな板の上の鯉」です。

手際のいい看護士達がササっと準備をし、担当の先生が、颯爽と登場!
温和な口調で「こんにちは、細川さん、緊張してますか?」と。。。

小声で「はい」と言うのがやっと、、、、、、
しかし、この緊迫した状況(私だけ)の中で
先生の温かみのある「緊張してますか?」のたった一言は
それまで、冷たい鋼鉄のよう感じをしていた手術台が
大きくて柔らかなクロワッサンのような感覚になり、ずいぶんと気持ちが楽になりました。

目に麻酔の目薬が点眼され、何やら、目にサッと走ったような感覚
きっと、メスが入ったのでしょう。
目の手術だけに、やっている事が見えるのです。
見えるだけに、妙に怖いものを感じるや否や

あっ!何か入ったかなぁ~ 急に、ピントが合う!!!というか
ぼやけた視界がハッキリっと!!!!

先生:「レンズが入りましたよぉ~、今から固定しますねぇ~」
すばやい動きであっという間に、無事に手術完了、凄すぎるスピーディーな腕裁き!

おそらく、10分もかかってないでしょう。私が、そう感じたのですから
実際は、5分もかかってないのかしれません。

その日は、眼帯をして完全安静! 一人ベッドの中に潜り込みます。
正直、手術はしたものの、あまり見えてなかったらどうしよう等と
いろいろな心配が、頭をよぎりなかなか、眠りにつくことができません。

大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせると同時に、
いや、きっと必ず、間違いなく、絶対にいい方になるはずだと、
何度も何度も思い込むようにして、なんとか眠りにつきました。
そして迎えた翌日の検診で、眼帯を取り、目を開けると。。。

なんと!  一番下の「C」が見えたのです!
そうです!「2.0」が見えたのです!!!!!!

この驚き!その辺の言葉は安っぽい!物心ついた頃から、いつも霧の中というか、
大きなスリガラスの入れ物の中というか視界は、常に、ぼやけっぱなし、そんな私です。

ハッキリ、クッキリ、スッキリ見えるこの様、 信じられない?まさか夢?
何度も何度も何度も何度も何度も、一番下の「2.0」の「C」を確認して
「右です!」と強く声に出します。(手はガッツポーズです)

この「見える感激」言葉が出ません。改めて医療の進歩の凄さに驚きです。

執刀して頂いた先生、本当にありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。

知人が話してくれた「世界が変わった」とは、まさにこの事だと感じました。
視界が明るくなると、気持ちも明るくなったように思います。

今まで、「どうせ見えないから」とあきらめていた事で
意欲が沸かなかった事も「見える」という事で、意欲的に取り込む事ができると思います。
これから今まで以上に、何事にも積極的に前向きに取り組んでいきたいと思います。

それでは、失礼します。

細川 泰伸