第26号 2009年8月発行
「どくだみ畑に腰を下ろし、雑草から教えてもらったこと。」

こんにちは、生搾りどくだみ青汁酒・十黒梅(じゅっこいばい)の食援隊、細川泰伸です。
いつもいつも、十黒梅(じゅっこくばい)をご愛飲頂きまして、本当にありがとうございます。

早いもので、7月も後半に入り、空を見上げると夏の雲が広がるようになりました。
こちら高知の黒潮町のどくだみ畑は
お陰さまで、無事に、初夏のどくだみ草の収穫期が終わり
これから、秋の収穫期に向けて、畑の手入れが始まっています。

どくだみ草を栽培している畑は、
国道から、軽トラックがやっと通れる道を数分走った奥地にあり
街の賑やかな雑踏とは別世界で、風の声、鳥の声、虫の声しか聞こえません。

ご年配の農家の方は、「おう、クマゼミが鳴き始めたか!暑うぅなるぞぉ」と
聞こえてくる虫の声で、気候を感じているようで
自然の中で仕事をするという奥の深さを感じています。

さらに、その農家の方が言うには、今年は、今までと大きく違うというのです。
なんでも、春のホトトギスがまだ鳴いていて、
秋のヒグラシがもう鳴き始めたというのです。

そう言われてみると、自然の声を聞き分けるには、
まだまだ未熟な私でも、それらの声は聞き取れ、
自然環境が確実に変わって来ている事を心配しております。

どくだみ畑の畑の手入れというのは、一言で言うと
ズバリ「草取り」です。どくだみ以外の草を、丁寧に一つずつ、取っていきます。

畑に腰を落とすと、どくだみも結構しぶといと思うのですが
他にも、しぶとい草が所狭しとしっかり生えている事に驚きました。

昨年から農家さん達が、しっかり他の草を抜き
手入れをして頂いた畑ですから、今年は、どくだみが畑を独占し、
他の草は少ないものだと、正直、たかをくくってました。

草の生命力って、本当にすごいです。
どくだみの隙間を狙ったかのように、しっかり根を張り、生き延びています。
中には、数日前に、抜かれた草があるのですが
抜かれた根から、さらに根が伸び、土に根をおろしている草もあるのです。
映画「ターミネーター」のように、やられても!やられても!やられても!
立ち上がってくるその姿に、本当に驚きました。

草取りを始めて数時間、正直私は、音を上げそうになりました。
強い日差しに、顔から、頭から、体から、汗はダクダク
下着はもちろん、靴下まで、汗びしょびしょです。
おまけに、慣れない姿勢(しゃがみこみ)ですから、足腰が悲鳴を上げています。

汗を拭き、立ち上がって、腰を伸ばそうと横を見ると
農家さん達は、何事もないかのように、黙々と草を取っています。
そして、立ち上がった私に気づいた、78才の農家さんは
「細川さん、あんた、大事な体やけん、休んじょったや」と
やさしく、にこやかに、おっしゃってくれたのです。

本来ならば、ご年配の方に
「若いもんがやりますんで、休んでください」と私が言うべき所ですが
全く逆の状況で、自分が情けないと思うと同時に、
農家さん達に尊敬の気持ちでいっぱいになりました。

農家さんの黙々と淡々と草を取るその姿を見ると、決して甘える訳にはいきません。
持場に戻り、一つずつ、草を取り始めます。
しばらくすると、目の前に、巨大な雑草が現れました。
しっかりと根を下ろし、大威張りの存在です。
根本に鍬を入れ、引き抜こうとしますが、敵も手強くそう簡単にいきません、
その草の根の四方に鍬を入れ、再度チャレンジ!
やっとの思いで、抜けた土の中を見ると
どくだみの根が、所狭しとビシッと根を張っているのが見えました。

どくだみも他の草に負けじと頑張っているその姿が嬉しくなり
収穫期の畑一面のどくだみの凛々しい姿を想像すると
鍬を持つ手に力が入り、残りの畑はエンジン全開です。

数時間後、草取りが終わった畑を見渡すと
朝は、雑草の間で、窮屈そうだったどくだみが、生き生き伸び伸びとして見え
噴出す汗も気持ちよく感じられます。

横で、農家さんが
「今日は、きれいになっちょるけんど、
またしばらくしたら草が生えてくるけんね、ホンマに、草はえらいで」と

そうなんでしょうね、取っても、取っても、また生えてくる雑草
その生命力の凄さ、しぶとさ、タフさ、立ち上がる力、
自分を考えてみると、時々、気持ちが落ち込む事もあります。
雑草魂というか、雑草のような強さを持ち続けたいと
どくだみ畑に立って、雑草に感謝の気持ちいっぱいの一日でした。

それでは、失礼します。

細川 泰伸