第113号 2016年11月発行
「魂を込めた一手」

こんにちは、失礼します。
生搾りどくだみ青汁酒・十黒梅(じゅっこくばい)の食援隊、細川泰伸です。
いつもいつも十黒梅をご愛飲頂きまして本当にありがとうございます。
またこの度は、手作り新聞「イキイキ元気倶楽部通信」を
お手に取って頂きまして心より感謝申し上げます。

やっぱり11月ですね、こちら南国高知も、めっきり寒くなってきました。
急に冬の到来!という感じで、いったい「秋」はどこにいったのか?
今年はそんな寂しい思いさえ致します。

しかし、その寂しさを吹き飛ばす、非常に楽しみな事があります。
それは、私の愛読書の一冊、将棋棋士・村山聖の実話を描いた作品、
「聖の青春」大崎善生著が映画化され11月19日(土)に公開を予定しているのです。

私の趣味の一つに将棋がありまして、日曜日のNHKの将棋の番組は
録画をして欠かさず観戦しております。

私と将棋の出会いは、小学生の時に祖父に教わったのが最初です。
ただその時は、特に夢中になった訳ではなく、中学・高校・大学・社会人の間、
駒に一度も触れる事はありませんでした。

将棋の魅力に魅せられたのは、社会人になり27歳の時でした。
当時、私は椎間板ヘルニアを患い、長期入院をしておりまして、
隣のベッドのおじさんに「将棋できる?」と誘われして
駒を並べたのがそのきっかけです。

それで、そのおじさん、やたら強いのです!「飛車・角の2枚落とし」
(飛車・角という強力な駒を最初から外してのハンデ戦)でも、
瞬殺のごとく、あっという間に、私の王が詰んでいます。

いやぁ~、悔しいのなんの! その悔しさが私に火をつけました!
将棋の本を取り寄せ、盤に駒を並べ、そのおじさんがよく仕掛けてくる
棒銀戦法という戦法の対策を立てます。

そして対策バッチリと、そのおじさんに挑戦!
おじさん、いつものように、棒銀戦法でやってきました。
本に載っていた対策の一手を放った瞬間!
「うっ!」と、おじさんから一言(勉強してきたなっ!)と無言です。
そこから、数手はわりといい手をさせた思うのですが・・・
しかし、本とは違う手が出てくると、どう対応していいかわかりません。
ご想像通り、またしても完膚なきまでの完敗!

こんな毎日が数日続き、、、、、
ある日とうとう一勝をあげる日がやってきました。

私が一手さして、おじさんが一手さして、私が一手さすと詰む!
いわゆる3手詰みが目前なのですが、読みが間違ってないか?
何度も何度も何度も読み直します。(それまで、読み違いで何度も負けています)

間違いないはず!とさした一手に 「負けました」と、おじさん
念願の一勝の瞬間です。椎間板ヘルニアの痛さなどどこへやらっ!
相手の王を詰ました瞬間、その瞬間のドキドキ感は忘れる事ができません。
もう、完璧に将棋の魅力にとりつかれました。

それでその当時に、大活躍をしていたのが将棋棋士・村山聖八段(当時)です。
東の羽生・西の村山と称され、将来を嘱望されてました。

村山聖八段は1969年6月15日の生まれですから、私と同じ学年ということになります。
ちなみに、1969年~1971年生まれの棋士は「羽生世代」と呼ばれ
強豪棋士ばかりでしたので、同じ年代の棋士たちが棋界を牽引する姿に大きな刺激を受け、
私も頑張らねばっ!と励まされました。

村山聖八段は、5歳のとき、腎臓の難病「ネフローゼ症候群」にかかっていることが発覚。
5年生まで病院に入院し院内学級で過ごしたそうです。
入院中に父から教わった将棋に没頭し、中国こども名人戦で4大会連続優勝し、
中学一年生の1982年にプロ棋士を目指し、1986年11月5日にプロデビューを果たします。

難病と戦い、時には、血尿にも悩まされながら、それでも渾身の一手を繰り出す村山八段、
その後、驚異的な快進撃で順位戦を駆け上がり、
1995年4月、A級八段まで登りつめ、名人位が射程圏となります。

しかし1997年、進行性膀胱癌が見つかります。
その年のNHK杯では、決勝戦まで勝ち上がる活躍、当時、私はテレビ観戦をしておりまして、
息詰まる熱戦に夢中になった事を昨日の事のように覚えています。

さらに1998年には、癌の再発・転移が見つかり、同年8月8日、29歳で死去。
薄れていく意識の中で「……2七銀」が最後の言葉であったそうです。

病魔に侵され、いつ死ぬか分からない状況、
まさに命を削り魂を込めた一手をさし続けた壮絶な姿は、
2000年に「聖の青春」大崎善生著の小説で発表され、今年、映画化となりました。

今回、私は、「聖の青春」をもう一度読み直し、
「どんな苦境の中でも、夢は諦めない」
「いつ死ぬかわからない、一分一秒を大切に使う」
「魂を込めて、自分自身をしっかり持つ」
改めて、自分に言い聞かせました。

今回の映画の主演は、松山ケンイチさんで、この役のために、20kgも体重を増やしたそうです。
「命を削り魂を込めた一手」 映画館に足を運び、スクリーンでの鑑賞を楽しみたいと思います。

季節は、冬に向かってまっしぐら、
うがい・手洗い・十黒梅(じゅっこくばい)
どうか体調を崩されませんよう、ご自愛くださいませ。

それでは、失礼いたします。 

細川泰伸